今回のブログでわかること(要約)

「右肩を動かすたびに痛みが出る」

「五十肩と診断され、肩を動かしているけれど、なかなか良くならない」

「湿布や痛み止めを使っているのに、症状が徐々に悪くなっている」

このようなお悩みはありませんか。

今回は、半年ほど前から右肩の痛みに悩まされていた鹿児島市の60代女性Yさんの症例をご紹介します。

当院では問診と検査を通じて、肩の前側にある上腕二頭筋長頭腱(じょうわんにとうきんちょうとうけん)の問題を疑う所見や、巻き肩、胸椎の動きにくさなどを確認しました。

身体全体と右肩への施術を継続した結果、約3ヶ月半・9回の施術を経て症状が徐々に落ち着きました。

肩の痛みを考えるうえで、私が日頃から大切にしている「見立て」についてもお話しします。

この記事を書いた人

坂元台整骨院(鹿児島県鹿児島市)院長 児玉 寛武

カイロプラクティック・遠絡療法(東洋医学的アプローチ)を用いて、体の不調の「本当の原因」を全身から見極める施術を行っています。鹿児島市を中心に、地域の皆さまの健康をサポートしています。

五十肩と診断され、肩を動かしていたものの症状が悪化

こんにちは。鹿児島市玉里団地で坂元台整骨院を開業している、院長の児玉です。

今回ご紹介するのは、事務職として働く60代女性のYさんです。

Yさんは、半年ほど前から右肩に痛みを感じるようになりました。

特に右肩を動かしたときに痛みが出ることが気になり、病院を受診されたそうです。

病院では「五十肩」と診断され、湿布と痛み止めを処方されました。

また、肩の動きが固まってしまわないように、無理のない範囲で動かすことも勧められていました。

そこでYさんも、できるだけ肩を動かすように心がけていたそうです。

ところが、時間が経つにつれて症状は徐々に悪化していきました。

良くなることを願って取り組んでいたのに、かえって痛みが強くなってしまうと、不安になるのも無理はありません。

このまま肩が動かなくなってしまうのではないかと心配になったYさんは、知り合いの方から当院を紹介され、来院されました。

五十肩では、肩を完全に動かさなくなることも好ましくありません。

ただし、痛みの強さや病期によって適切な運動量は異なります。特にはじめの炎症期は安静にしておいた方が予後がいい場合が多いです。無理をして動かせば良いというものでもないのです。

私はまず、Yさんがどのような経過で痛みを感じるようになったのかを丁寧に伺い、現在のお身体の状態を確認することにしました。

右肩の痛みについて、当院で確認したこと

右肩に強い巻き肩がみられました

問診の後は、肩の動きや姿勢、痛みの出る場所などを確認していきました。

Yさんは長年、事務職としてデスクワークを続けてこられた方です。

お身体を確認すると、右肩が前方へ入り込む、いわゆる「巻き肩」の状態が強くみられました。

デスクワークでは、パソコンの画面や手元を見るために、頭が前に出たり、肩が内側に入り込んだりすることがあります。

もちろん、長年デスクワークをしているからといって、必ず肩が痛くなるわけではありません。

ただ、同じ姿勢が続くことで肩や背中の筋肉の働き方、関節の動き方に偏りが生じる場合があります。

私は、このような身体の使い方も確認するようにしています。

上腕二頭筋長頭腱に関連する所見がみられました

次に、痛みの出る場所を指で確認する圧痛検査や、肩の筋肉・腱に負荷をかける徒手検査をいくつか組み合わせました。

すると、右肩の前側にある「上腕二頭筋長頭腱」に関連する痛みの所見がみられました。

少し難しい名前ですが、できるだけ分かりやすく説明します。

上腕二頭筋とは、肘を曲げたときに腕の前側に力こぶができる筋肉です。

この筋肉には肩につながる腱があり、そのうちの一本が「上腕二頭筋長頭腱」と呼ばれています。

この腱は肩の関節につながり、肩の前側にある骨の溝を通っています。

肩を動かすときには、この腱も周囲の組織と関わりながら動いています。

例えば、ロープが溝の中を通っている様子を想像してみてください。

ロープの通り道や引っ張られる方向が変わると、周囲との接触や負担のかかり方も変化しますよね。

肩の腱も同じように、関節の位置や動かし方によって負担のかかり方が変わることがあります。

巻き肩では肩甲骨や上腕骨の位置、動き方が変化する場合があり、上腕二頭筋長頭腱にかかる負荷との関係も考えられます。

ただし、巻き肩があるから必ず腱が擦れて炎症を起こすわけではありません。

また、圧痛や徒手検査だけで炎症を確定できるものでもありません。

今回のYさんについては、これらの検査所見から、上腕二頭筋長頭腱への負担が右肩の痛みに関係している可能性があると考えました。

背中の骨にも動きにくい部分がありました

さらに当院で取り入れているカイロプラクティックの検査を行うと、背中の骨である「胸椎」に動きの制限がみられる部分がありました。

また、姿勢や身体全体のバランスにも偏りが確認されました。

ここで少し考えていただきたいことがあります。

腕を上げる動作は、肩の関節だけで行われているわけではありません。

肩甲骨や鎖骨、背骨なども協力しながら動いています。

例えば、複数の歯車が連動して動く機械を想像してみてください。

一つの歯車の動きが小さくなると、ほかの歯車の動き方にも影響することがあります。

身体もこれに似ていて、胸椎や肩甲骨の動きが小さくなると、腕を動かす際の負担のかかり方が変わる場合があります。

私は日頃の臨床で、このような身体の動きのつながりを大切にしています。

ただし、これは私の臨床の見立てであり、胸椎の動きに制限があることがYさんの肩の痛みの直接的な原因だったと断定するものではありません。

肩だけでなく身体全体を確認して施術を行いました

Yさんには、問診や検査で確認できたことをお伝えしたうえで、施術を進めていきました。

当院では、痛みが出ている部分だけに注目するのではなく、その部分がどのように動き、周囲の関節とどのように連動しているのかを重視しています。

今回も、カイロプラクティックの考え方を取り入れながら、身体全体のバランスを確認し、動きにくさがみられた部分への調整を行いました。

それに加えて、右肩の局所にも状態に応じた調整を加えました。

施術では、痛みのある部分に強い刺激を加えることが必ずしも良いとは考えていません。

その日の身体の状態を確認しながら、必要な部分に適切な刺激を加えることを心がけています。

特にYさんのように、長期間痛みが続いている場合は、焦らず身体の変化を確認していくことが大切だと考えています。

約3ヶ月半・9回の施術で右肩の痛みが徐々に落ち着きました

Yさんは、その後も施術を継続されました。

施術を重ねていくうちに、右肩を動かしたときの痛みは徐々に落ち着いていきました。

今回の施術経過は、次のとおりです。

  • 施術期間:約3ヶ月半
  • 施術回数:9回
  • 経過:右肩を動かしたときの痛みが徐々に軽減
  • その後:月1回のメンテナンスへ移行

現在は、初めて来院されてから約1年が経過しています。

Yさんは月1回のメンテナンスを継続されており、現在も良い状態を維持されています。

長い間、右肩の痛みに悩まされていたYさんが、以前よりも楽に過ごせるようになったことは、私にとってもうれしいことでした。

なお、これはYさん個人の経過であり、同じような肩の痛みがある方すべてに、同じ施術回数や期間で変化がみられることを示すものではありません。

右肩を動かすと痛いときに気をつけたいこと

今回のYさんの症例を通じて、改めてお伝えしたいことがあります。

それは、肩の痛みは、痛む場所だけでなく、痛みが出る動作や身体全体の状態を確認することが大切だということです。

五十肩と呼ばれる状態では、肩関節を包む組織の変化によって、痛みや動かしにくさが生じることがあります。

一方で、肩の前側にある上腕二頭筋長頭腱や、肩を支える腱板などの問題でも、似たような痛みが出る場合があります。

症状が似ていても、関係する組織や適切な対応が同じとは限りません。

そのため、痛みが続いているときは、自己判断で無理に動かし続けないことも大切です。

肩を完全に動かさないことも好ましくありませんが、強い痛みを我慢しながら運動を続ける必要はありません。

特に、痛みが悪化している場合や、夜間の痛みが強い場合、腕に力が入りにくい場合などは、改めて状態を確認してもらうことをお勧めします。

また、普段のデスクワークでは、同じ姿勢を長時間続けないようにすることも一つの工夫です。

肩を無理に後ろへ引いて姿勢を固定するのではなく、時々立ち上がったり、身体を動かしたりして、負担が一か所に集中しないようにしましょう。

まとめ|肩の痛みが長引くときこそ、丁寧な見立てを大切に

今回は、右肩を動かしたときの痛みに悩まされていた60代女性Yさんの症例をご紹介しました。

Yさんは病院で五十肩と診断され、無理のない範囲で肩を動かすよう心がけていましたが、症状が徐々に悪化していました。

当院では、右肩の圧痛や徒手検査に加え、巻き肩や胸椎の動き、身体全体のバランスを確認しました。

そして、身体全体と右肩の状態に応じた施術を継続した結果、約3ヶ月半・9回の施術を経て症状が徐々に落ち着きました。

私は、痛みが出ている場所だけを確認するのではなく、「なぜその動作で痛みが出るのだろうか」「身体のほかの部分はどのように動いているのだろうか」と考えることを大切にしています。

もちろん、すべての肩の痛みが身体のバランスによって起こるわけではありません。

だからこそ、問診や検査を丁寧に行い、必要に応じて医療機関での検査や診察につなげることも重要だと考えています。

右肩の痛みが長引いている方にとって、今回のYさんの症例が、ご自身の身体について考えるきっかけになれば幸いです。

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参考文献

  1. American Academy of Orthopaedic Surgeons(AAOS). Biceps Tendinitis. OrthoInfo.
    https://orthoinfo.aaos.org/en/diseases--conditions/biceps-tendinitis/
  2. NHS. Frozen shoulder.
    https://www.nhs.uk/conditions/frozen-shoulder/
  3. NHS. Shoulder pain.
    https://www.nhs.uk/symptoms/shoulder-pain/

※本記事は個人の施術経過を紹介したものであり、特定の施術による効果や改善を保証するものではありません。症状が続く場合や悪化する場合は、医療機関での診察をお勧めします。

執筆・監修:坂元台整骨院 院長 児玉寛武(柔道整復師)