今回のブログでわかること(要約)
「立ち仕事をしていると、いつも左側の腰が痛くなる」
「マッサージを受けると楽になるけれど、数日経つとまた元に戻ってしまう」
「長年続いている腰痛が、最近さらにひどくなってきた」
このようなお悩みはありませんか?
今回は、10年以上にわたって左側の慢性的な腰痛に悩まされていた40代女性Sさんの症例をご紹介します。
丁寧な問診と検査を進めるなかで、私が特に着目したのは、普段お仕事をされている場所の「足場の傾斜」でした。
なぜ斜めに傾いた足場での作業が腰への負担につながるのか、当院での施術経過や日常生活で気をつけていただいたことも含めて、分かりやすくお伝えします。
この記事を書いた人

坂元台整骨院(鹿児島県鹿児島市)院長 児玉 寛武
カイロプラクティック・遠絡療法(東洋医学的アプローチ)を用いて、体の不調の「本当の原因」を全身から見極める施術を行っています。鹿児島市を中心に、地域の皆さまの健康をサポートしています。
- 1. 今回のブログでわかること(要約)
- 1.1. この記事を書いた人
- 2. 10年以上続いていた左側の腰痛。マッサージを受けても元に戻る日々
- 3. 丁寧な問診と検査で見えてきた、腰痛につながる意外な生活環境
- 3.1. お身体に見られた強い歪みから、生活環境をもう一度確認
- 4. なぜ斜めに傾いた足場での立ち仕事は、腰痛につながるのでしょうか?
- 4.1. ① 足裏や関節から脳へ情報が伝わる
- 4.2. ② 脳が身体のバランスを調整する
- 4.3. ③ 腰や股関節周辺の筋肉に負担がかかることがある
- 5. 当院が腰だけでなく、背骨や骨盤の動きも確認する理由
- 6. カイロプラクティックによる施術と約3ヶ月間の経過
- 7. Sさんに実践していただいた、仕事中の立ち方の工夫
- 8. 腰痛がなくなり、仕事や家庭のことにも集中できるように
- 9. まとめ|長年続く腰痛だからこそ、普段の生活環境にも目を向けてみませんか?
- 9.1. 参考文献
10年以上続いていた左側の腰痛。マッサージを受けても元に戻る日々
こんにちは。鹿児島市玉里団地の坂元台整骨院です。
今回ご紹介するのは、立ち仕事をされている40代女性Sさんです。
Sさんは10年以上前から、左側の腰に慢性的な痛みを抱えていらっしゃいました。
腰痛がつらくなるとマッサージに通い、そのときは楽になったように感じるものの、数日経つと再び痛みが戻ってしまう。
そのような状態を長年繰り返していたそうです。
ところが最近になって、腰痛がだんだんとひどくなってきたため、今後のことが心配になり、知人の紹介で当院を受診されました。

長年続いている腰痛でも、痛みの程度や頻度が変わってくると、不安になるものだと思います。
だからこそ私は、痛みが出ている腰だけでなく、普段どのような生活をされているのかについても、丁寧にお話を伺うことを大切にしています。
丁寧な問診と検査で見えてきた、腰痛につながる意外な生活環境
お身体に見られた強い歪みから、生活環境をもう一度確認
Sさんのお身体を確認すると、姿勢や身体のバランスに強い歪みが見られました。
ここで私が疑問に思ったのは、「なぜ、このような身体のバランスになっているのだろうか?」ということでした。
もちろん、身体に歪みが見られるからといって、それだけで腰痛の原因と判断できるわけではありません。
しかし、普段のお仕事や身体の使い方が関係している可能性も考えられます。
そこで、日常生活についてもう少し詳しくお話を伺うことにしました。
すると、Sさんから気になるお話がありました。
普段のお仕事では、足場が緩やかに斜めに傾いている場所で作業することがあり、その場所で仕事をしているときが一番腰がつらくなるということでした。

私は、このお話がSさんの腰痛を考えるうえで、大切な手がかりになるのではないかと感じました。
なぜ斜めに傾いた足場での立ち仕事は、腰痛につながるのでしょうか?
人間の身体には、立っているときにバランスを保ち、転ばないように姿勢を調整する仕組みが備わっています。
例えば、平らな床に立っているときと、斜めに傾いた場所に立っているときでは、足裏にかかる圧力や足首、膝、股関節の位置関係が変わります。
こうした変化に対して、身体はどのように対応しているのでしょうか。
① 足裏や関節から脳へ情報が伝わる
足裏には、地面から受ける圧力などを感じ取る感覚受容器があります。
また、筋肉や関節にも、身体の位置や動きを感じ取る仕組みがあります。
これらの情報に加え、目から入る情報や、頭の傾き・動きを感じ取る内耳の前庭器官(耳の奥にある、身体の傾きや動きを感じ取るセンサーのような器官)からの情報などが脳へ伝えられます。
② 脳が身体のバランスを調整する
脳は、こうしたさまざまな情報を統合し、身体が倒れないように筋肉の働きを調整しています。
例えるなら、自転車に乗っているときのバランス調整に似ています。
自転車が少し傾いたとき、私たちは無意識のうちに身体の位置を変え、転ばないように調整していますよね。
斜めの足場に立っているときも、身体は姿勢を保つための調整を行っています。
③ 腰や股関節周辺の筋肉に負担がかかることがある
傾斜した場所では、足首や膝、股関節、骨盤などの位置関係が平らな場所とは異なります。
その姿勢を長時間維持すると、腰や股関節周辺の筋肉が働き続け、姿勢によっては特定の筋肉に負担が集中することがあります。
その結果、筋肉の疲労や腰への負担が蓄積し、腰の張りや痛みにつながる可能性があります。

ただし、傾斜した場所で仕事をする方が、必ず腰痛になるわけではありません。
作業時間や姿勢、もともとの身体の状態などによっても負担のかかり方は異なります。
今回のSさんについても、足場の傾斜だけが腰痛の原因だったと断定することはできません。
あくまでも、問診と検査から私が腰痛に関係している可能性を考えた要因の一つです。
当院が腰だけでなく、背骨や骨盤の動きも確認する理由

ここからは、私が日々の臨床で大切にしている考え方についてお話しします。
腰痛の患者さんを検査する際、私は痛みのある腰だけでなく、背骨や骨盤、股関節がどのように動いているかも確認しています。
背骨は首から腰までつながっており、それぞれの関節が協力しながら身体を動かしています。
例えば、股関節の動きが小さくなっている場合、身体をかがめたり、向きを変えたりするときに、腰でその動きを補うことがあります。
その結果、特定の筋肉や関節に負担が集中し、腰痛につながる場合も考えられます。
私は、このような身体の動きのつながりを重視しています。
また、私が長年学んでいるカイロプラクティックには、神経の通り道でもある背骨の関節の動きや働きの悪さが身体の不調に関係する場合がある、という考え方があります。
神経には、痛みを感じ取ったり、筋肉の働きを調節したりする役割があります。
神経の通り道でもある背骨やその周囲の組織に適切な刺激を加えることで、痛みや筋肉の働きを調節する神経系に影響し、不快な症状が和らぐ可能性があります。
あくまでも、私が臨床経験を通じて大切にしている見立ての一つです。
大切なのは、患者さんのお身体を実際に確認し、どこに動きにくさがあるのか、どのような生活環境が負担になっているのかを一つひとつ調べることだと考えています。
カイロプラクティックによる施術と約3ヶ月間の経過
Sさんには、問診と検査の結果を踏まえ、カイロプラクティックという手技を用いて身体のバランスを整える施術を行いました。
また、施術を受けるだけでなく、普段のお仕事で腰に負担がかかりにくい身体の使い方についてもお伝えしました。
施術を重ね、4回目の施術終了時には、「腰痛が楽になってきました」とのご報告をいただきました。
その後もお身体の状態を確認しながら施術を継続したところ、8回目の施術終了時には、腰痛がなくなったとのことでした。
施術期間は約3ヶ月間です。
その後はご本人の状態を踏まえ、月1回のメンテナンスへと移行しました。
なお、これはSさん個人の経過であり、同じ施術回数や期間で、すべての方の腰痛が改善するというものではありません。
Sさんに実践していただいた、仕事中の立ち方の工夫
今回、施術とともに大切にしたのが、仕事中の立ち方です。
Sさんには、緩やかに斜めに傾斜している足場で作業する際、高い側にある足の膝を軽く曲げることをお伝えしました。
これは、足場の傾きに合わせて膝の角度を少し調整することで、身体の左右の傾きをできるだけ小さくし、無理のない姿勢で作業していただくための工夫です。

ただし、膝を曲げた姿勢を長時間続けると、かえって膝や太ももに負担がかかる場合もあります。
そのため、無理に姿勢を固定せず、足元の安全を確保しながら、作業姿勢を適宜変えることも大切です。
今回の方法も、すべての方に適しているわけではありません。
私は、患者さんそれぞれの仕事や生活環境に合わせて、無理なく取り組める方法を一緒に考えるようにしています。
腰痛がなくなり、仕事や家庭のことにも集中できるように
8回目の施術を終えたSさんは、嬉しそうにこのようにお話ししてくださいました。
「仕事や家庭のことにも集中して取り組めるようになりました」
10年以上にわたって悩まされていた腰痛がなくなり、日常生活にも前向きに取り組めるようになったとのことでした。
そのお姿を見て、私も本当に嬉しく思いました。
腰痛があると、仕事中に痛みが気になったり、帰宅してからも身体のことが心配になったりするものだと思います。
だからこそ、痛みだけでなく、その方が普段の生活をどのように過ごせるようになったのかということも、私は大切にしています。
まとめ|長年続く腰痛だからこそ、普段の生活環境にも目を向けてみませんか?

今回のSさんの症例を通じて、私が改めて感じたのは、腰痛を考える際には、痛みのある部分だけでなく、普段の身体の使い方や生活環境にも目を向けることが大切だということです。
Sさんの場合、問診を深掘りしたことで、傾斜した足場での作業が腰への負担に関係している可能性に気づくことができました。
そして、カイロプラクティックによる施術とともに、仕事中の立ち方についても見直していただきました。
長年続く腰痛には、さまざまな要因が関係している場合があります。
また、腰痛が徐々に悪化している場合には、整形外科などの医療機関で原因を確認することも大切です。特に、足の力が入りにくい、排尿・排便に異常がある、発熱を伴うなどの場合は、速やかに医療機関へご相談ください。
坂元台整骨院では、患者さんのお話を丁寧に伺い、お身体の状態や生活環境を確認したうえで、一人ひとりに合った施術や生活上の工夫を考えることを大切にしています。
鹿児島市で立ち仕事による慢性腰痛や、繰り返す腰の痛みにお悩みの方にとって、今回のブログがご自身の身体を見直すきっかけになれば幸いです。
参考文献
- Hartvigsen J, et al. What low back pain is and why we need to pay attention. The Lancet. 2018;391:2356–2367.
- Peterka RJ. Sensorimotor integration in human postural control. Journal of Neurophysiology. 2002;88(3):1097–1118.
- 日本整形外科学会・日本腰痛学会 監修.『腰痛診療ガイドライン2019(改訂第2版)』南江堂,2019.
※本記事は実際の施術経験をもとに、個人が特定されないよう配慮して紹介しています。施術後の経過には個人差があり、同様の結果を保証するものではありません。
(監修 柔道整復師 児玉寛武)


