
今回のブログでわかること【要約】
「ランニングをすると腰が痛い」「走るのが好きなのに、腰痛が気になって思いきり走れない」とお悩みではありませんか?
ランニング中の腰痛は、腰だけに原因があるとはかぎりません。股関節の動きや、仕事中の長時間の座り姿勢などが関係していることもあります。
今回ご紹介するのは、趣味でジョギングを楽しみ、年に1〜2回はフルマラソンにも出場している40代男性Uさんです。
半年ほどランニング時の腰痛が続いていましたが、当院でお身体を確認すると、股関節の動きがかたくなっていました。
そこで、身体全体のバランスを整える施術にくわえ、股関節への施術と毎日のストレッチを続けていただきました。
その結果、2か月・6回の施術で腰痛は大きく改善。目標だったフルマラソンにも出場し、無事に完走されました。
※施術による変化や必要な期間・回数には個人差があります。
- 1. 今回のブログでわかること【要約】
- 2. ランニングをすると腰が痛くなっていた40代男性
- 3. 腰ではなく「股関節のかたさ」が気になりました
- 4. 股関節がかたいと、なぜランニングで腰に負担がかかるのでしょうか?
- 5. 骨盤と背骨を整え、股関節が動きやすい身体へ
- 6. デスクワーク中は30分に一度、身体をリセット
- 7. おしりと腸腰筋のストレッチも毎日の習慣に
- 7.1. おしりまわりのストレッチ
- 7.2. 腸腰筋のストレッチ
- 8. 2か月・6回の施術で腰痛が大きく改善
- 9. ランニングの腰痛は「走るのをやめる」だけが答えではありません
- 10. ランニングと腰痛についてよくある質問【FAQ】
- 10.1. Q1.ランニングをすると腰が痛い場合、走るのをやめたほうがいいですか?
- 10.2. Q2.股関節がかたいと腰痛につながりますか?
- 10.3. Q3.デスクワークはランニング中の腰痛と関係しますか?
- 10.4. Q4.ランニング前後にストレッチをしたほうがいいですか?
- 10.5. Q5.腰痛があってもフルマラソンに出場できますか?
- 11. 参考文献
ランニングをすると腰が痛くなっていた40代男性
Uさんは40代の男性で、事務のお仕事をされています。
趣味はジョギングです。
普段から走ることが好きで、年に1〜2回はフルマラソンにも出場していました。
ところが、半年ほど前からジョギングをすると腰に痛みを感じるようになりました。
はじめは、「少し休めばよくなるだろう」と思っていたそうです。
しかし、なかなか腰痛はよくなりません。
保険診療の整骨院や鍼灸院、整体院などにも通いましたが、思うような変化はみられませんでした。

そしてUさんには、どうしても腰痛をよくしたい理由がありました。
3か月後にフルマラソンを控えていたからです。
「できれば、今回も走りたいんです」
好きなことを腰痛のためにあきらめるのは、とてもつらいことだと思います。
何とか大会に出場したいという思いから、知人のご紹介で当院を受診されました。
腰ではなく「股関節のかたさ」が気になりました
当院では、腰痛だからといって腰だけを確認するわけではありません。
問診をおこない、身体全体の動きを確認しました。

そこで特に気になったのが、股関節の柔軟性と動く範囲の低下でした。
さらに普段の生活についてお聞きすると、事務職のUさんは、仕事で長い時間イスに座っていることがわかりました。
長時間同じ姿勢が続けば、股関節まわりを大きく動かす機会も少なくなります。
Uさんの場合も、こうした生活が続いたことで股関節まわりの柔軟性が低下し、動く範囲がせまくなっていった可能性があると考えました。
股関節がかたいと、なぜランニングで腰に負担がかかるのでしょうか?
ここは、ランニングをされる方にぜひ知っていただきたいところです。
走るときには、腰だけが動いているわけではありません。
股関節や骨盤、膝、足首などが連動して身体を前へ運んでいます。
わかりやすく、「リレー」をイメージしてみてください。
本来なら股関節が受け持つ動きを、股関節が十分にできなくなると、そのぶんを骨盤や腰が補おうとすることがあります。
つまり、股関節が動きにくい→ 骨盤や腰が動きを補う→ ランニングをくり返すことで腰への負担が増えるという状態が考えられます。

ただし、股関節がかたいから必ず腰痛になるわけではありません。
腰痛にはさまざまな要因があります。
Uさんの場合は、身体の状態や生活習慣を合わせて考えた結果、股関節の動きにくさが腰への負担に関係している可能性があると判断しました。
骨盤と背骨を整え、股関節が動きやすい身体へ

施術では、ソフトなカイロプラクティックで骨盤から背骨にかけてのバランスを整えていきました。
強くひねったり、無理に動かしたりするのではなく、お身体の状態を確認しながら施術をすすめます。
そのあと、股関節の柔軟性と動く範囲を高めるための施術をおこないました。
ただ、治療院で身体を整えるだけでは十分ではないと考えました。
Uさんは毎日、長い時間デスクワークをされています。
そこで施術と並行して、普段の過ごし方も見直していただきました。
デスクワーク中は30分に一度、身体をリセット
Uさんにまずお伝えしたのが、30分に一度はイスから立ち上がることです。

少し立って身体を動かし、それから座り直していただきます。
座るときには、おしりの下にある「坐骨」を意識して、左右のおしりへできるだけ均等に体重をかけます。
ずっと完璧な姿勢を保とうとする必要はありません。
むしろ、同じ姿勢を長時間続けないことを意識していただきました。
おしりと腸腰筋のストレッチも毎日の習慣に

Uさんは、とくにおしりまわりと腸腰筋(ちょうようきん)の緊張が強くみられました。
そのため、自宅では2種類のストレッチを続けていただきました。
おしりまわりのストレッチ

左右それぞれ30秒を3回で1セット。
朝と夜に1セットずつおこないます。
腸腰筋のストレッチ

こちらも左右それぞれ30秒を3回で1セット。
朝と夜におこなっていただきました。
痛みを我慢して強く伸ばすのではなく、気持ちよく伸びている程度で息を吐きながら伸ばすことが大切です。
2か月・6回の施術で腰痛が大きく改善
施術とセルフケアを続けた結果、Uさんの腰痛は2か月・6回の施術で大きく改善しました。
股関節の動く範囲も、初めて来院されたころより広がりました。
そして迎えたフルマラソン。
Uさんは目標にしていた大会へ無事に出場し、完走することができました。

後日、「無事に完走できました!」とうれしそうに報告してくださった姿が、とても印象に残っています。
私自身もうれしかったです。
今回の症例を通じて改めて感じたのは、施術者だけががんばるのでも、患者さんだけががんばるのでもなく、同じ目標に向かって二人三脚で取り組むことの大切さでした。
Uさんが日々のストレッチや座り方をしっかり続けてくださったことも、大きかったと思います。
ランニングの腰痛は「走るのをやめる」だけが答えではありません

ランニング中に腰痛が出ると、「もう走らないほうがいいのかな」と不安になる方もいるでしょう。
しかし、腰痛の状態は一人ひとり違います。
大切なのは、痛みを我慢して走り続けることでも、好きなランニングをすぐにあきらめることでもありません。
なぜ走ると腰に負担がかかっているのかを考えることです。
Uさんの場合は、股関節の動きと長時間のデスクワークが身体を考えるうえでの大切な手がかりになりました。
腰だけでなく、股関節や骨盤、普段の座り方などにも目を向けてみてください。
坂元台整骨院では、腰の痛みだけでなく、お仕事、運動習慣、姿勢、身体の動きまで確認しながら、一人ひとりに合った方法を考えています。
「腰痛はあるけれど、これからもランニングを楽しみたい」
そんな目標がある方も、お身体の状態を一緒に確認していきましょう。
ランニングと腰痛についてよくある質問【FAQ】

Q1.ランニングをすると腰が痛い場合、走るのをやめたほうがいいですか?
必ずしもすべての方がランニングをやめる必要があるわけではありません。ただし、走るほど痛みが強くなる場合は、距離やペースを落とし、お身体の状態を確認することが大切です。
Q2.股関節がかたいと腰痛につながりますか?
股関節の動きが小さくなると、動作によっては骨盤や腰がその動きを補うことがあります。ただし、股関節のかたさだけで腰痛の原因を断定することはできません。身体全体を確認することが大切です。
Q3.デスクワークはランニング中の腰痛と関係しますか?
長時間座り続ける生活では、身体を動かす時間が少なくなりやすいため、腰痛を考えるうえで生活習慣も確認することが大切です。WHOも腰痛のセルフケアとして、身体活動や職場環境の調整などを挙げています。
Q4.ランニング前後にストレッチをしたほうがいいですか?
身体の状態に合わせて取り入れる方法があります。今回のUさんには、おしりまわりと腸腰筋のストレッチをお伝えしました。痛みを我慢して強く伸ばす必要はありません。
Q5.腰痛があってもフルマラソンに出場できますか?
症状や原因によって異なるため、一概にはいえません。今回のUさんは2か月・6回の施術とセルフケアを続け、フルマラソンを完走されましたが、すべての方が同じ経過になるわけではありません。
脚の強いしびれや力の入りにくさ、排尿・排便の異常、発熱、転倒後の強い痛みなどがある場合は、無理に走らず医療機関へご相談ください。
参考文献
- World Health Organization(WHO)「Low back pain」
- World Health Organization(WHO)『WHO guideline for non-surgical management of chronic primary low back pain in adults in primary and community care settings』2023
- World Health Organization(WHO)『WHO guidelines on physical activity and sedentary behaviour』2020
- 日本整形外科学会・日本腰痛学会監修『腰痛診療ガイドライン』
※今回ご紹介した内容は一症例であり、施術による変化や必要な期間・回数には個人差があります。
(監修 柔道整復師 児玉寛武)

