この記事で伝えたいこと(要約文)
慢性的な痛みと向き合うとき、私は「どんな施術をするか」よりも先に、「なぜ、この人は今この状態になっているのか」を考えることを大切にしています。
痛みを感じている場所と、身体の中で最初に問題が起きた場所が同じとは限りません。だからこそ、姿勢や動き、関節の状態などを一つずつ確認し、自分なりの「見立て」を組み立てていく必要があります。
今回は、私が2019年からカイロプラクティックを学び続けるなかで感じてきた、技術だけでは身につかない「身体を診る力」と「考える力」の大切さについてお話しします。
この記事を書いた人

坂元台整骨院(鹿児島県鹿児島市)院長 児玉 寛武
カイロプラクティック・遠絡療法(東洋医学的アプローチ)を取り入れながら、痛みを感じている部分だけでなく、身体全体の状態を確認したうえで施術を行っています。
私が考える「見立て」の重要性
こんにちは。
鹿児島市玉里団地で坂元台整骨院を開業しております、院長の児玉です。
治療家として経験を重ねるほど、技術だけでは足りないと感じるようになりました。
世の中には、本当にたくさんの施術方法があります。
筋肉を押す、揉む、伸ばす。鍼や灸を使う。関節を動かす。皮膚や筋膜へ刺激を加える。
私自身も治療家として技術を学び続けてきました。
けれど、慢性的な症状を抱える方と向き合っていると、次第に一つのことを強く意識するようになりました。
「何をするか」を考える前に、「なぜ、この人は今この状態になっているのか」を考えなければならない。
どれだけ施術の引き出しを増やしても、その判断がずれていれば、せっかく身につけた技術を生かすことができません。
だから私は、治療家が本当に時間をかけて身につけなければならないものは、手技の種類だけではなく、身体の状態を読み取り、自分なりの見立てを組み立てる力なのではないかと考えています。
痛い場所を見つけることと、身体を理解することは同じではない

患者さんから、「腰が痛いです」「首が痛いです」と言われれば、どうしてもその場所に目が向きます。
もちろん、痛みが出ているところを確認することは大切です。
ただ、慢性的な症状の場合、私はそこで考えることを止めないようにしています。
たとえば、ある関節の動きが悪くなったことで、近くの関節がそれを補うように動き続けているかもしれません。
身体の一部に傾きがあれば、別の場所がバランスを取ろうとしていることも考えられます。
人間の身体には、どこかがうまく働かなくなったときに、ほかの部分で補おうとする働きがあります。
すると、最初に問題が起きた場所と、現在痛みを感じている場所が必ずしも一致するとは限りません。
だからこそ私は、「ここが痛いから、ここを施術する」という考え方だけで身体を診ないようにしています。
私にとって「見立て」は、施術を始める前の設計図です
以前から私は、見立てを「建物を建てる前の設計図」に例えてきました。
どれだけ腕のいい職人が集まっても、設計図がなければ、どこに何を造ればいいのか分かりません。
施術も似ていると思っています。
技術を持っていることと、その技術を「どこに、なぜ使うのか」を判断できることは別です。
だから施術に入る前に、私は身体からできるだけ多くの情報を集めます。
姿勢や動きに左右差はないか。
関節はどのように動いているのか。
筋肉や靱帯などの状態はどうなのか。
熱感や腫れはないか。
そして必要に応じて、触診やナーブスコープ(神経圧迫測定器)などから得られる情報も参考にします。

一つの情報だけで決めつけるのではなく、それぞれを組み合わせながら、「この身体では、いったい何が起きているのだろう」と考えていく。
私にとって、それが見立てです。
最初は私自身も「本当に分かるようになるのか」と思っていました
触診について学び始めた頃、私自身にも疑問がありました。
「そんなわずかな違いを、本当に手で見分けられるようになるのだろうか」
そう感じていた時期があります。
けれど、専門的な仕事には、長年経験を積み重ねることで、最初は気づかなかった小さな違いが分かるようになる世界があります。
たとえば、経験を積んだ大工さんが木材に触れ、そのわずかな反りやゆがみ、状態の違いを確かめながら仕事をするようなものです。
経験のない人が触っても同じように感じる木材でも、毎日のように木と向き合ってきた職人さんだからこそ、手や目から得られる情報があります。
触診も、それに近いところがあると私は感じています。
一度習えばすぐ身につくものではありません。
繰り返し触れ、確認し、間違いを修正する。
その積み重ねによって、少しずつ身体から得られる情報が増えていきます。
だからこそ私は、治療家にとって本当に必要なものは、短期間で簡単に手に入るものではないと考えるようになりました。
2019年から学び続けて感じていること

私は2019年から現在まで、京都で活躍されている尊敬する先生のもとでカイロプラクティックを学んできました。
そこで学んできたのは、単に施術(アジャストメント)の方法だけではありません。
私にとって大きかったのは、「なぜ、そこを施術するのか」という判断の部分まで繰り返し問われることでした。
技術の形だけを覚えるのであれば、「ここにはこの方法」と覚えることもできるかもしれません。
しかし、実際の患者さんの身体は一人ひとり違います。
だから、自分で身体を確認し、情報を集め、その人に何が必要なのかを考えられなければならない。
先生の指導は、単に「ここにはこのテクニックを使う」と答えを教えるものではありません。
答えそのものではなく、そこにたどり着くための考え方を教える。
私自身、長く学び続けるなかで、このことの大切さを以前より強く感じるようになりました。
技術を増やすことより、「なぜ?」を持ち続けたい
治療家として仕事をしていると、新しい施術法やテクニックに触れる機会があります。
もちろん、技術を学ぶことは大切です。
しかし私は、それ以上に、「なぜ、この人はここに痛みを感じているのだろう」「なぜ、この関節はうまく動いていないのだろう」「なぜ、別の場所がそれをかばっているのだろう」と考え続けることを大切にしています。
慢性的な症状ほど、身体の状態は単純ではないことがあります。
だから私は、最初から「原因はここだ」と決めつけるのではなく、身体から得られる情報を一つずつ確認しながら、自分の見立てを組み立てていきたいと思っています。
そして、見立てが変われば、施術の選択も変わります。
施術技術は、見立てがあって初めて生かせるもの。
これは、私が長く学び続けるなかで大切にしてきた考え方の一つです。
治療家に必要なのは「答えを持つこと」だけではない

治療家として長く学んでいても、身体を見ることに「もう十分」というところはないのだと思います。
触診、姿勢、動作、解剖学や神経についての知識。
そして、それらの情報をどう結びつけるのか。
一つひとつを積み重ねながら、見立ての精度を高めていくしかありません。
だから私は今でも学び続けています。
患者さんの身体を前にしたとき、覚えた技術を当てはめるのではなく、「この人の身体では、何が起きているのだろう?」と考えること。
その問いを持ち続けることこそ、治療家としてすぐには手にすることのできない大切な力なのではないか。
私はそう考えています。
長く続く痛みで悩んでいる方へ

もし腰痛や首・肩などの症状が長く続いているなら、痛いところを強く揉んだり、無理に動かしたりすることだけを繰り返すのではなく、まずは日常生活を振り返ってみてください。
長時間同じ姿勢になっていないか。
いつも同じ側に体重をかけていないか。
仕事や家事で同じ動作を繰り返していないか。
こうしたことを書き出してみるだけでも、自分の身体にどのような負担が積み重なっているのかを考える手がかりになります。
なお、強い痛みやしびれが続く場合や、症状が悪化している場合などは、セルフケアだけで判断せず、まず医療機関で必要な検査や診断を受けることも大切です。
当院では、一人ひとりのお話を丁寧に伺い、お身体の状態をしっかり確認したうえで、その方に合った施術をご提案しています。
お身体の不調でお困りの方は、どうぞお気軽にご相談ください。
ご予約はお電話かインターネット予約、または24時間受付のWEB予約機能付き公式LINE予約からお取りできます。
(監修 柔道整復師 児玉寛武)

