今回のブログでわかること(要約)

今回は、5か月ほど左側の顎関節の痛みと口の開けにくさに悩んでいた50代女性Iさんの症例をご紹介します。

Iさんは歯科でマウスピースを作り使用していましたが、思うような改善がみられず、知人の紹介で当院へ来院されました。

身体を詳しく確認すると、顎関節だけでなく、骨盤の仙骨や首の第一頸椎にも気になるところがみられました。また、普段から足を組んでデスクワークをする習慣があり、身体全体のバランスも考えながら施術を行いました。

仙骨・第一頸椎・顎関節への施術と生活習慣の見直しに取り組んだ結果、約1か月・4回の施術で顎の痛みは大幅に改善。以前のようにご家族との食事を楽しめるようになりました。

この記事では、顎関節症について分かりやすく解説しながら、Iさんの身体の状態や施術の経過、日常生活で見直していただいたことについてご紹介します。

※今回の内容は一症例であり、施術による変化や改善までの期間・回数には個人差があります。

この記事を書いた人

坂元台整骨院(鹿児島県鹿児島市)院長 児玉 寛武

カイロプラクティック・遠絡療法(東洋医学的アプローチ)を用いて、体の不調の「本当の原因」を全身から見極める施術を行っています。鹿児島市を中心に、地域の皆さまの健康をサポートしています。

5ヶ月間左顎の痛みにお悩みだった50代女性が来院に至るまでの経緯

こんにちは、鹿児島市玉里団地で坂元台整骨院を開業しております、院長の児玉寛武です。

今回ご紹介するIさんは、事務職でデスクワークをされている50代女性です。

Iさんは毎日デスクワークの事務のお仕事や家事、子育てと忙しく毎日を過ごしておりました。

左顎に痛みを感じはじめたのは、当院へ来られる5ヶ月ほど前からでした。

徐々に痛みが悪化して、口も開きにくくなってきたため心配になり、定期的にクリーニングに通っている歯科に相談したそうです。

そこでマウスピースを作ることになり、マウスピースを装着して就寝する日々を送っていたそうですが、症状は一向に改善することなく不安な日々が続いたとのこと。

とてもお辛かったことと思います。

たまたま知り合いの紹介で当院のことを知ることになり、来院することになりました。

顎関節症とは?口を開けると痛い・音がするのはなぜ?

顎関節症(がくかんせつしょう)とは、口を開けたり閉じたりすると顎が痛む、口を大きく開けにくい、顎を動かすと「カクッ」「コキッ」と音がするなど、顎の関節やその周辺に不調が起こっている状態の総称です。

顎の関節は、耳のすぐ前あたりにあります。

食事をするとき、会話をするとき、あくびをするときなど、私たちは一日の中で何度も顎を動かしています。そのため、顎関節や周囲の筋肉に負担が重なると、痛みや動かしにくさにつながることがあります。

顎の関節には「クッション」があります

顎関節を分かりやすく考えるために、ドアの蝶番(ちょうつがい)をイメージしてみてください。

ドアは蝶番がスムーズに動くことで開いたり閉じたりできます。顎関節も同じように、下顎の骨が動くことで口を開閉しています。

ただし、顎関節は単純な蝶番ではありません。

関節の中には「関節円板(かんせつえんばん)」という、クッションのような組織があります。

口を開けるときには、下顎の骨とこの関節円板がうまく協調しながら動きます。

ところが、この動きがスムーズにいかなくなると、「カクッ」と音がしたり、口を開けにくくなったりすることがあります。

顎関節だけでなく筋肉が痛むこともあります

顎関節症という名前から「顎の関節だけの病気」と思われがちですが、実際には顎を動かす筋肉が関係しているケースもあります。

例えば、食べ物を噛むときには、頬やこめかみ周辺にある筋肉が働いています。

歯を強く食いしばるクセがあったり、睡眠中に歯ぎしりをしたりすると、こうした筋肉へ繰り返し負担がかかります。

これは、ずっと力を入れて握りこぶしを作っているようなものです。

短時間なら問題なくても、それを何時間も繰り返していれば手の筋肉が疲れてしまいますよね。

顎の筋肉にも同じようなことが起こり、顎のだるさや痛み、こめかみ周辺の違和感などにつながることがあります。

顎関節症の原因は一つとは限りません

顎関節症は「これ一つが原因です」と単純に決められないことも少なくありません。

食いしばりや歯ぎしり、顎への負担、生活習慣、ストレスなど、いくつかの要因が重なって症状につながると考えられています。

そのため、「顎が痛い=噛み合わせが悪い」と必ずしも決めつけることはできません。

症状が続く場合には、まず歯科や歯科口腔外科などで顎関節や歯の状態を確認してもらうことが大切です。

特に、口が急に開かなくなった、強い痛みや腫れがある、外傷後から症状が出た、といった場合には早めに医療機関を受診しましょう。

私の見立て|Iさんの顎関節の痛みの原因について

まずは問診でIさんからいろいろとお話を聞かせていただきました。

もともと肩こりや腰痛はあったそうですが、耐えられないような痛みでもないため、そのまま今まで過ごしてきたそうです。

今回のように顎関節が痛くなるのは初めての経験だそうで、食事の時が一番つらいとのこと。

特に家族と食卓を囲んで楽しい時間になるはずが、つらい時間になってしまっていることが、Iさんとしては家族に対しても申し訳ない気持ちでいっぱいだったそうです。

本当はご家族と楽しく食卓を囲みたいのに、顎の痛みのために思うように食事を楽しめないことは、とてもおつらいことだと思います。

次に、検査でIさんのお身体を詳しく見させていただきました。

すると、骨盤の仙骨という部分と首の一番上にある骨の第一頸椎というところにゆがみが見られました。

なぜこのようなゆがみが出ているのか気になりましたので、Iさんの日常生活を深掘りして伺うと、普段はよく足を組んで仕事をしていることがわかりました。

このような日常生活のクセで骨盤にゆがみが生じて、さらに崩れた上半身のバランスを補うために首の骨が無理をして補正する働きをした結果、首の方までゆがみを引き起こしていた状態でした。

このような身体のアンバランスが、今回のIさんの顎関節の痛みを引き起こしたのではないかと考えました。

顎関節と首は身体の中で完全に独立しているわけではなく、頭や首の姿勢、顎を動かす筋肉などを通して互いに影響し合っています。そのため、顎関節症の方では顎だけでなく、首や肩周辺の状態もあわせて確認することが大切な場合があります。

そして、今回のIさんのケースでは首のゆがみに影響を与えたであろう骨盤の方にも着目しなければならないケースでした。

大元の原因を探っていくと、足を組むという座り方でゆがんでしまった骨盤の仙骨という部分にたどり着きました。

毎日忙しいなか集中してお仕事をしていると、こうなってしまうのも無理もないことです。

施術の経過|Iさんの改善に至るまで

Iさんへの施術はお身体への負担の少ないカイロプラクティックという手技を用いて行いました。

仙骨と第一頸椎、顎関節の3箇所を調整しました。

3回目来院された時に、「顎がだいぶ痛くなくなってきました」とおしゃっていました。

4回目治療終了時には、ほとんど症状も気にならないとのことで、現在は月に一回のメンテナンスで良い状態をキープできています。

今回のIさんは施術期間約1ヶ月・施術回数4回で大幅に改善した症例になります。

「食事の時も以前のように楽しく食事ができます」と喜んで報告しているお姿を見て、私も嬉しい気持ちになりました。

Iさんは日常生活の改善にも取り組んで症状改善につながりました

Iさんは当院の施術を受けただけで症状が改善したわけではありません。

今までクセになっていた足を組んで座る習慣をやめていただきました。

長いこと身についた習慣をやめることは、はじめのうちは大変だったかもしれません。

でもIさんは身体を良くして、「また家族と楽しく食卓を囲みたい」との思いで、生活習慣の改善に取り組みました。

施術をいくら頑張っても症状の原因となっていることを続けていたら、また元に戻ってしまいますよね。

虫歯の治療をしても、毎日歯磨きしていなかったらまた虫歯になってしまうのと同じことです。

Iさんが生活習慣の改善に取り組まれたことは、本当に素晴らしいです。

このようなご自身での普段の取り組みもあって、今回の早期改善につながったのだと思います。

まとめ|顎関節の痛みは顎だけでなく身体全体を見ることも大切です

今回は、5か月ほど左側の顎関節の痛みと口の開けにくさに悩んでいた、50代女性Iさんの症例をご紹介しました。

Iさんは歯科でマウスピースを作り使用していましたが、思うような変化がみられず、当院へ来院されました。

身体全体を確認すると、顎関節だけでなく、骨盤の仙骨や首の第一頸椎にも気になるところがみられました。また、普段から足を組んで座る習慣があり、身体全体のバランスにも着目して施術を進めました。

仙骨・第一頸椎・顎関節を調整するとともに、足を組む習慣を見直していただいた結果、約1か月・4回の施術で顎の痛みは大幅に改善し、以前のようにご家族との食事を楽しめるようになりました。

顎関節症にはさまざまな要因が関係するため、すべての方に首や骨盤が関係しているわけではありません。しかし、顎への対応を続けてもなかなか症状が変わらない場合には、顎だけに目を向けるのではなく、首や姿勢、普段の身体の使い方なども含めて確認することが大切なケースがあります。

顎の痛みや口の開けにくさが続いている場合は、まず歯科や歯科口腔外科で状態を確認してもらい、そのうえで身体全体の状態にも目を向けてみることをおすすめします。

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※今回ご紹介した内容は一症例であり、施術による変化や改善までの期間・回数には個人差があります。

参考文献

  1. National Institute of Dental and Craniofacial Research(NIDCR). TMD (Temporomandibular Disorders).
    顎関節症の症状・診断・セルフケア・マウスピースなどの治療について。
  2. Japanese Society for the Temporomandibular Joint. Clinical practice guidelines in primary treatment for temporomandibular disorders: 2023 edition. J Prosthodont Res. 
  3. Rocha CP, Croci CS, Caria PH. Is there relationship between temporomandibular disorders and head and cervical posture? A systematic review. J Oral Rehabil. 2013;40(11):875-881. 
  4. Armijo-Olivo S, et al. Effectiveness of manual therapy and therapeutic exercise for temporomandibular disorders: systematic review and meta-analysis. Phys Ther. 2016;96(1):9-25. 
  5. Cuenca-Martínez F, et al. Cervical musculoskeletal disorders in patients with temporomandibular dysfunction: a systematic review and meta-analysis. 2020.
    顎関節症のある人では、頸部筋の持久力低下や頸部可動性低下などが報告されています。